ACC患者会と新薬TAF
ACC患者会
昨日(2016/06/11)初めてピアミーティングの場に赴きました。今回は以下のプログラムでした。(年に数回開催されている様です)
- 13:00 - 14:00 患者同士の医療・福祉に関する話し合い
- 14:00 - 14:20 休憩
- 14:20 - 15:00 第1部まとめ/質疑応答・討論
- 15:00 - 15:45 公演「HIVとエイジング」
- 15:45 - 15:55 新外来の案内/新人スタッフ紹介
- 15:55 - 16:00 閉会
私は先に野暮用を済ましてからの参加で少し遅れて行ったので、最初のセッションが終わって休憩中の14:00過ぎに到着しました。
HCV遺伝子型3a
偶然にも席の隣の方が同じHIV/HCV重複感染で、遺伝子型(GenoType)が「3a」と特殊(※1)な方でした。もう少しお話すれば良かったなと今になって己の見知りを反省してます。
※1 HCVのGenoTypeとは、HCVウィルスの遺伝子型で日本の場合1b型で約70%、2a型、2b型がそれぞれ20%、10%程度とされています。3a型は日本ではほぼ見ないGenoTypeと言っても良いでしょう。USでは3a型は10%の割合で居るとされていて治療法としてはインターフェロン(IFN)+リバビリン(RIV)+ソホスブビル(sofosbuvir)となる様です。日本で3aのこの方がHCV根治出来るのを祈っております。
C型肝炎ウイルスの正体 | C型慢性肝炎と肝硬変 | C型肝炎 - 新しい治療、新しい可能性 -
治療選択がない C 型肝炎遺伝子型 2 型または 3 型の患者に対するソホスブビル | 日本語アブストラクト | The New England Journal of Medicine(日本国内版)
http://www.mhlw.go.jp/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/iyakuhin/dl/150810_3-4-4.pdf
セッション中、興味を惹かれたのは以下の2つです。今回はTAFについて記したいと思います。
- TAF(テノホビル・アラフェナミドTenofovir alafenamide)の優位性
- 月1回の注射によるART
新規プロドラッグTAF
閉会後に岡先生に食い下がって聞いたので私の理解の範囲で書きたいと思います。現在TDF(テノホビル)として多くの薬で使用されているもので「ツルバダ」や「スタリビルド」に配合されている成分ですが長期に渡り使用を続けると腎機能低下や骨粗相症を引き起こすことが知られているます。TDFが血中濃度を上げて作用するのに対して、TAFはHIV感染細胞などの細胞内に効率的に作用して細胞内に到達する新しい薬です。細胞内に到達した後はテノホビル(TDF)と同等の作用が有るのでTAFはTDFの1/10の量でTDFと同等の効果が得られるとの事(*1)。私はギリアド・サイエンシズ社の回し者では有りませんが要約するとTAFとはTDF同等の効果が得られ副作用が少なくなる全く新しい薬となります。国内では今年の夏にスタリビルドの後継Genvoya(*2)、今年中にはツルバダの後継F-TAF(*3)が出てくるとのです。長期使用による副作用の観点から今後は徐々にTAFに置き換わっていくのでは?とお聞きしました。
*1 TAFとTDFの比較記事です。この中のStudy detailsに「Japan」と記されているのはACCでの研究参加となっている様です。
*2 スタリビルド(EVG/COBI/TDF/FTC)のTDFの部分をTAFに置き換えた薬がGenvoya(Genvoya(EVG/COBI/TAF/FTC)です。個人的にはスタリビルドを服用しているので期待しています。
GENVOYA® (elvitegravir, cobicistat, emtricitabine, tenofovir alafenamide)
*3 ツルバダの2つの有効成分のうちTDFをTAFに置き換えた薬がF-TAF(エムトリシタビン/ TAF配合錠)です。ツルバダは服用している患者さんが多いらしいので無理に変える必要は無いが副作用を考えれば少しづつ移行していくと考えられています。