HIV/HCV重複感染した40代ゲイの医療記録と備忘録

HCVの治療時にHIV感染告知されて4年目のゲイ「たつ」の備忘録です。己の治療に関する経験や、ほんの少しの承認欲求を満たす雑記です。

HIV感染告知

HIV要確認ポストカウンセリング

2012-10-24 前日に大事な話が有ると約束していたので、ベッドで待っているとS先生が「すいません、奥の応接室へ」入院患者が入って来ない広い部屋に案内されました。そこには、看護師1名、MSW(メディカルソーシャルワーカー)1名、検査技師1名、知らないDr.が2名の、S先生含めると総勢6名で、音楽が流れていました。応接室のドアが閉められると

  • S先生「落ち着いて聞いて下さいね。実はHIV検査で要確認と出ています。これが検査室からの報告書です。」
  • 俺「えっ…」 ※1
  • S先生「肝生検の際に念の為、検査したのですが」
  • 俺「…確定ですか?」

※1 この時は放心状態から「なんで俺だけ」と、どこにも八つ当たり出来ない怒りに充ちてました。その後すぐに「あんまり深く考えても結果は一緒だろうから…」と思って落ち着きを取り戻し「妻やパートナーになんて言おう?」「親には一生言えない」「どこで感染したんだろ?」「今後の性活への影響は?」「これからどんな症状が出るんだろ?」と考えていました。そして今この場で起こっている事が他人事の様に思えて来たのを覚えています。この時のことを3年半経過した今でも覚えているので一生忘れられいくらいの精神的ショック症状だったと思います。

  • S先生「稀に疑陽性が出るので、精度の高い検査をしてみないと分かりません。ただHIVは死の病気では有りません。とりあえずお茶でもどうですか?」
  • 俺「…」(お茶を飲みながら)
  • S先生「20年前に輸血をされていますが、ここ最近HIV検査されましたか?」
  • 俺「3年前(2008年)くらいに陰性の結果が出てますね」
  • MSW「そうですか、前回の陰性結果は2008年頃ですね?」
  • 俺「はい、そうなりますね」
  • MSW「すごくプライベートな質問で恐縮ですが、性的パートナーは男性ですか?女性ですか?」
  • 俺「男性ですね。ここ最近、接触したのは2ヶ月程度前でしょうか…」
  • S先生「すいません、プライベートな質問してしまって。まずHIVはAIDSでは有りません。薬を飲み続ければAIDS発症を抑えるのでコントロール可能な疾患と言えます。」
  • 俺「先生はどれくらいで疑陽性だと思いますか?」
  • S先生「統計的には1%の確率で疑陽性ですね。この検査はアルコール性肝障害や性感染症ウィルスでも陽性と出ますので、今は何とも言えません。」
  • 俺「分かりました。仮に陽性と結果が出た場合は今後の治療に影響しますか?」
  • S先生「私は肝臓の専門でHIV関連の知識があまり有りません。ただ免疫の数値であるCD4カウントとHIV-RNA量で診断されます。どこか専門の病院を紹介することも出来ますし、うちで継続して診ることも可能です。」
  • 俺「専門の病院でないと難しいんでしょうか?」
  • S先生「正直まだ分かりません。確認検査に出しているので結果が出るまで1週間ほどかかります。その結果で今後のことを検討していきましょう。びっくりされましたよね?たつさんが思いの外しっかりしてて正直ホッとしてます。実は、こんな形での告知3回目なんですが前回の患者さんはその場で倒れちゃったんで。明日まで入院ですが何か気になることや質問が有れば、いつでも呼び出しや電話してもらって構いませんので。後はカンセラーが少しお話させて頂きますね」
  • MSW「びっくりされましたよね?先ほどはプライベートな質問して、すいません。明日、退院と伺ってますが、結果が出るまでの1週間は長いと思いますが、明後日からはお仕事ですか?」
  • 俺「いえ、金曜日だけ仕事です。遅くまで仕事してるので忙しさにかまけて、あまり考えずに済みますが、今後のこと考えたら仕事はしばらく休んだ方が良いのでしょうか?」
  • MSW「今は確認検査の段階ですし、感染されている方の多くは、これまで通り仕事をされています。もちろん体調にもよりますが」
  • 俺「そうですか。それでは普通通りに仕事に出ます。身近な人間には言わなくちゃダメですかね?」
  • MSW「感染を誰かに言わなくてはならないことは有りません。この後、奥様やパートナーの方には要確認という結果をお伝えしようと思っていますか?」
  • 俺「正直、まだ気持ちの整理がついてませんが、2人には伝えるつもりです。」
  • MSW「信頼関係が充分有る相手でしたら、打ち明けることによって落ち着くかもしれませんね。これから1週間の間で何か不安な事が有れば、話がしたくなったり、質問などあれば、いつでも電話などでご連絡下さい。」
  • 俺「はい、分かりました。」
  • MSW「今は不安になったり混乱されていると思いますので気持ちが落ち着かない時は連絡下さい。このお部屋は時間長めに取って有りますので、落ち着かれるまでここにいらっしゃいますか?」
  • 俺「少し、気持ちの整理がしたいので、まずはベッドに戻ります。」
  • S先生「戻られますか?とりあえずお茶を飲んでから戻りませんか?」
  • 俺「じゃぁ飲んだら戻りますね」

看護師が付いて来て、ベッドに戻り暫くボーッとしてました…というより放心状態でした。暫くして屋上に出て妻とパートナーに「大事な話が有るので出来れば会って話がしたい」とメールをしました。すると妻からは「明日、仕事休みにしたから明日、聞く」パートナーからは「夕方、お見舞いに行く時にきかせて」と返信が来ました。

夕方になるとパートナーが来たので「HIV陽性かもしれない、もし俺が移してたら一生、償うつもり。だから念の為検査を受けて欲しい」と告げると「伝えてくれて有難う。今はたつが一番混乱してると思うし、俺は明日、検査受けてくるから心配しないで」と言われました。

この夜パートナーは帰宅後、一人で泣いたそうです。俺は夜眠れずに屋上に出たら急に涙が止まりませんでした。これからの自分に起こるであろうイベントが不安でしょうがなかったのでベッドに戻り朝まで寝ずに、ひたすらPCでHIVの事、調べまてました。

このEntryを、この出来事が起こった2012-10-24とします。