HIV/HCV重複感染した40代ゲイの医療記録と備忘録

HCVの治療時にHIV感染告知されて4年目のゲイ「たつ」の備忘録です。己の治療に関する経験や、ほんの少しの承認欲求を満たす雑記です。

4週目の検査結果

検査結果

本日(6/20)予定外来の診察で6/6の検査結果(ART開始4週目)の検査結果が出ました。

CD4: 460 → 630

HIV-RNA: 43,000 → 46

K先生いわく「ウィルス量1/1000くらい下がっててCD4も上がってるので良好ですね。ただし今は良くなってるけどCD4は打ち止まり(*1)がくるから」とお褒めの言葉と軽い脅しの言葉を授かりました。服薬開始から、トリーメクで副作用出たり、精巣上体炎になったり、皮膚疾患出たり、謎の微熱が出たりと踏んだり蹴ったりだったので、この結果に有頂天になった私でした。毎朝の経口薬1錠でこんなに早く成果が出るなんて驚いてます。(350Kカロリー以上の食事制限が辛いところでは有りますが)

決まった事はスタリビルドで継続することくらいです。9月頃にはGenvoyaに変わるでしょうけど。会社は今、休業状態に有るので復職に向けて体力つけたり調整したりが今月の課題です。

※1 CD4上昇の打ち止まりは、急激にウィルス量が減って免疫機能が再活性している時期なので上昇しているが、そのうち免疫がサボり始めるので、ある程度の数値の差は誤差範囲らしいです。

 

月1の注射による抗HIV

注射による抗HIV治療

HIVの治療されてる方に特に私の様なずぼらな人には朗報の

月に1回の注射による抗HIV療法

について説明したいと思います。私の場合はスタリビルドなので、毎朝1錠の経口薬で350Kカロリー以上摂取した上に食中もしくは食直後に飲む制限が有ります。たかがART開始1ヶ月そこらの私が言うのはなんですが、これが毎日ともなると意外に大変です。

Webで調べられる限りの情報で私の理解した範囲で、ご紹介します。(※もし間違いなど有ればコメント欄にて、ご指摘頂ければ幸いです)

 

注射による治療法とは

  • Cabotegravir(CAB LA *1) と Rilpivirine (RPV LA *2)の、2注剤を4週か8週ごとに筋肉注射で投与するもの
  • 32週間の治験で、3剤の経口薬(CABと2種類のNRTI)を服用している患者と同程度のウイルス抑制率を達成(91%以上)

つまり「1月に1回もしくは2月に1回、2剤の筋肉注射」さえすれば毎日の経口薬服用から開放される画期的なものです。と期待しつつ調べ始め、2016年内に日本国内でも試験が始まりそうな治療法ですが「抗HIV/AIDS薬の第三相試験は2年間治療するのが一般的なので、今回の試験だけでは未だ成功確実とは言い難い。長期間続けるほど耐性ウイルス出現リスクが高まるだろう。少なくとも、経口剤よりはリスクが高いのではないかと思われる。問題は、そのリスクの発生頻度が許容範囲内であるかどうかだ。」との記述がされています。治療の選択肢が広がる事はHIV陽性者にとっては福音なことだと思っています。私の場合は今すぐにでも飛びつきたいんですがCabotegravir(CAB LA)がドラテグラビル(DTG)の類似体らしいので副作用が有るのかもしれません。 

海外医薬ニュース: 2015年11月8日号

※1 Cabotegravir(カボテグラビル)は、強力なインテグラーゼ鎖転移阻害剤でドラテグラビル(DTG)の構造類似体の様です。現在、試験中の段階だそうです。米国FDA未承認 Formulation and pharmacology of long-acting cabotegravir : Current Opinion in HIV and AIDS

*2 Rilpivirine(リルピヴァイリン)、一般商品名はEdurant(エデュラント)でNNRTI(非核酸系逆転写酵素阻害剤)です。米国FDAでは認証済でRNA 100,000 c/ml以下の患者で初回ART治療に適用されるみたいです。 抗HIV薬の予防的投与はあり? | HIV感染症(エイズ)の検査・症状100問100答

 

 

参考情報(URL)

以下3つの情報を元にEntryしました。(翻訳タイトル)

  1. もうすぐ月に1度の注射が毎日の投薬に取って代わります。

    www.hivplusmag.com

  2. 8週間長時間作用型の注射HIV治療の試験が成功し次ステップへ

    www.poz.com

  3. HIV持続療法としてだけでなく注射cabotegravir+ rilpivirineによる実験治療

    www.aidsmap.com

ACC患者会と新薬TAF

ACC患者会

昨日(2016/06/11)初めてピアミーティングの場に赴きました。今回は以下のプログラムでした。(年に数回開催されている様です)

  • 13:00 - 14:00 患者同士の医療・福祉に関する話し合い
  • 14:00 - 14:20 休憩
  • 14:20 - 15:00 第1部まとめ/質疑応答・討論
  • 15:00 - 15:45 公演「HIVとエイジング」
  • 15:45 - 15:55 新外来の案内/新人スタッフ紹介
  • 15:55 - 16:00 閉会

私は先に野暮用を済ましてからの参加で少し遅れて行ったので、最初のセッションが終わって休憩中の14:00過ぎに到着しました。

 

HCV遺伝子型3a

偶然にも席の隣の方が同じHIV/HCV重複感染で、遺伝子型(GenoType)が「3a」と特殊(※1)な方でした。もう少しお話すれば良かったなと今になって己の見知りを反省してます。

※1 HCVのGenoTypeとは、HCVウィルスの遺伝子型で日本の場合1b型で約70%、2a型、2b型がそれぞれ20%、10%程度とされています。3a型は日本ではほぼ見ないGenoTypeと言っても良いでしょう。USでは3a型は10%の割合で居るとされていて治療法としてはインターフェロン(IFN)+リバビリン(RIV)+ソホスブビル(sofosbuvir)となる様です。日本で3aのこの方がHCV根治出来るのを祈っております。

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告知・・・今にして思えば

HIV要確認告知について

前回のEntryで3年半経過した後も、鮮明に覚えている告知ですが、今考え直すと

ほぼロール・モデル(*1)

であることに気付きました。以下のサイトで「HIV検査相談 要確認・陽性告知のポイント」で出ている、告知を担当する医療従事者向けの小冊子に書いて有ります。もし、これを見てる方が医療従事者で告知しなければならない立場になった場合には、お薦めの小冊子です。今にして思えば、この時S先生が、この小冊子を熟読して告知の日を迎えたのが想像出来ます。例えば「お茶でもどうですか?」とか「HIV感染=死ではなくコントロール可能な疾患であること」を充分に説明しています。告知は告知する側も、告知される側も非常にストレスがのしかかってくるイベントです。患者さんは千差万別で、私の様に短時間(15分程度?)ショック→自己喪失感→あきらめに近い安堵感→放心状態の人もいれば、倒れてしまったり自殺を考えたりまで様々です。個人的な意見ですが医療従事者の方からは、正直に分かりやすく話をしてもらった方が安心します。※けっこう大人数で物々しいので

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※1 この小冊子は「HIV感染症及びその合併症の課題を克服する研究班」の小冊子で「HIV検査相談 要確認・陽性告知のポイント」です。以下から入手可能です。 

www.haart-support.jp

はじめに

はじめまして

はじめまして。「たつ」と申します。HIV感染告知から3年半で投薬開始したばかりのゲイです。国立国際医療センターのACCで何回かの外来受診を経て、トリーメクでART開始しました。

 

Blogを始めるきっかけ

2012年10月の感染告知時に、HIV/HCV Double-CoInfection(重複感染)の情報が少なくて悩んだこと、トリーメク服用時の副作用に関して情報が少なかったことから、忘備録を兼ねて体験を綴っていこうと思ってます。感染告知後で不安な方や、重複感染で悩んでいる方に、少しでも私の経験がお役に立てれば幸いです。自分の記憶を整理する為に、そのイベントが起こった過去の日付でEntryしています。

 

ART薬変更(トリーメクからスタリビルド)

ART薬変更

前回のEntryの続きです。診察結果は、服用直後からの発熱と皮膚に薬疹が背中や足に現れていることから、トリーメクの成分DTG(ドルテグラビル)かABC(アバカビル)どちらかの副作用を疑っている。ABCの副作用は白人男性に多く見られるが日本人でのABC副作用は、ほぼ無いのでDTGが原因ではないかと思っている。配合成分が全く違う組合せの

スタリビルド(*1)

へART薬をに変更し経過観察とする。ステロイドは肝臓・腎臓への作用が強いので投与は見送る。但し、スタリビルドは食中または食後に服用するので服用は250Kカロリー以上の摂取が必要とのこと。私の場合、2週間でトリーメク(DTG+ABC/3TC: ドルテグラビル+アバカビル+ラミブジン)からスタリビルド(EVG+COBI+TDF/FTC: エルビテグラビル+コビシスタット+テノホビル+エムトリシタビン)で変更となった訳ですが、放置すると皮膚の壊死やその他の重篤な副作用に悩むハメになっていたらしいらしいです。もしこれを見てる人で薬の服用中に

副作用?と思ったら悩まず早めに受診

をお薦めします。薬局でスタリビルドをもらった際に、7日分余ったトリーメクは持っていても混乱するだけだし副作用が憎らしいので、薬局で処分してもらいました。

※1 スタリビルドとは、4つの成分が配合されているSTR (1錠)の薬です。キードラッグはインテグラーゼ阻害薬のエルビテグラビル(EVG)と、血中濃度を維持するためのブースターのコビシスタット(COBI)です。ベースドラッグはヌクレオシド系逆転写酵素阻害薬(NRTI)のテノホビル(TDF)とエムトリシタビン(FTC)になります。

エルビテグラビル/コビシスタット/エムトリシタビン/テノホビル:スタリビルド

トリーメク副作用 (※私の場合)

トリーメク服用2週間目

朝08:00のトリーメクの服用を開始して2週間経過。出勤出来ないくらいの体調だったので2016年5月24日に予定外外来でACCを受診しました。結果的には以下と診断されました。 

  1. 奇妙な発熱 => 副作用
  2. 下っ腹の激痛 => 精巣上体炎
  3. 皮膚に赤いポツポツが出来て痒い => 薬疹

 

副作用

俺「1日に熱が34℃から39℃を乱高下して、下っ腹が痛くてカラダがダルいです。」

K先生「熱はいつから出ましたか?」

俺「服用開始日の夕方くらいです」
K先生「ちょっとシャツまで脱いでみせてもらえますか?・・・薬疹出てるみたい。ズボンも脱いでもらえます?・・・あーーー」
俺「なんとなく、そんな気はしてたんですが…」
K先生「遺伝子検査するので採血と肺のレントゲン撮って戻って来て!」
言われるがままに、採血と肺のレントゲン撮影をしたら、待合室で待っていたら
K先生「だいたいの方針は薬の変更しようくらいまで決めたんだけど下っ腹の激痛は分からないなー」
俺「そう言えば下っ腹と言うよりかは片タマなんですが…」
K先生「ちょっと見せて」と診察室へ
K先生「これ痛い?腫れてるし熱持ってるね。タマ持ち上げると痛い?」
俺「…(言葉になってない声で)ものっそい痛いです」
K先生「精巣捻転症かもだけど今から至急泌尿器科で診てもらって」

 

精巣上体炎

泌尿器科に行って超音波ドップラー検査(*1)されながら

女医さん「この画面見えますか?左の睾丸は血流が有るので赤とか青の点になってますよね?右の睾丸は赤や青の点無いの分かりますか?」
俺「…(言葉になってない声で)分 か り ま す ー」
女医さん「たつさんの歳で精巣捻転症は考えにくいし、CRP値(*2)も高くて血流も多いから精巣上体炎(*3)でしょうね、睾丸を束ねている管が纏まっているところで炎症が起きているんです」
俺「ここ最近、覚えの有る性的な接触が無いんですが…」
女医さん「性行為が無くてもなりますよ。抗生物質出しておきますね!後、尿検査しておいて下さい。細菌の確認しますので」

※1 下衆く簡単に表現すると、タマをオイルまみれにしてプルーブを当ててタマへの血流を検査するもの。後から聞いたのですが、この時精巣捻転だったら緊急手術の流れになっていたとのことでした。 

日本泌尿器科学会-The Japanese Urological Association (JUA) こんな症状があったら - 陰嚢内が痛い - 一般のみなさま向けサイト (出展: 日本泌尿器科学会一般向け情報)

※2 CRPとはC-リアクティブ・プロテインの略で、体内で炎症が起きていたら上昇する値。正常値は0.2以下で、この時は3.5でした。

炎症の早期診断に役立つCRP(C反応性タンパク)の検査 (出展:http://medical-checkup.info/)

※3 精巣上体炎とは、精巣の後ろ側に位置する管である精巣上体の炎症で私の場合は、抗生物質で治りそうな範囲でした。

精巣上体炎 (出展: http://www.healthline.com/ )